2025/09/22その他
<生産者との取組み>秋田県産「赤ささげ」収穫リポート(9月3日)
前回のリポートはこちら https://www.eitaro.com/news/other/20250625/3078/
6月上旬に種まきした赤ささげが、いよいよ収獲時期を迎えました。赤ささげは約2週間で発芽し、3ヶ月ほどで収穫を迎えます。当社の御赤飯や甘名納糖に欠かせない希少な国産原料のひとつです。
赤ささげは、昔から御赤飯に欠かせない豆として親しまれてきました。その理由のひとつが「炊き上げても煮崩れしにくい」こと。豆ならではの香ばしい香りがふわりと広がり、小豆と比べると素朴でやさしい甘みが楽しめます。皮がしっかりしているため炊き上げても粒が崩れず、つややかな赤紫色がご飯を美しく彩ります。お祝いの膳にふさわしい気品を感じさせ、ハレの日をいっそう華やかにしてくれます。榮太樓では昔から御赤飯には赤ささげを使い続けています。
秋田三種町での栽培は今年で二年目。圃場(ほじょう)を管理いただく下岩川地域づくり協議会事務局の信太秋桜(しださくら)さんに作況のお話を伺いました。
「今年は天候に恵まれず、変色やカビ、割れが多く、粒も小さめです。例年なら梅雨時期(6月中旬~7月中旬)に雨が降るところ、今年はほとんど降りませんでした。7月末にはさやが限界を感じて急遽水やりを行ったほどです。その後、必要のない時期に大雨が続いたことで水はけの悪さも重なってカビが多く増えてしまいました」
面積を昨年のおよそ2倍に広げたものの、猛暑や不安定な雨の影響で収穫は予想を下回ったとのこと。気候の激しさを痛感する一年となりました。
生育した赤ささげ収穫の流れは下記のようになります。
1、収獲: 種まきから約3ヶ月、さやが茶色く乾燥し始めたら適期のサイン
2、乾燥: 手で刈り取ったさやを風通しの良い場所で乾燥。しっかり水分を飛ばします。
3、脱穀・選別: 乾燥したさやを割り、虫食いや割れ豆を一粒ずつ目視で取り除きます。
4、水分量チェック: 17%以下が合格基準。その後は低温、低湿度で保管。
実際に脱穀を体験させていただきましたが、乾燥不足はカビや変色に直結するため徹底管理が必要です。指で「パキッ」と割れるまで乾いた鞘を手作業で処理し、普段は5人で約3時間かけて15㎏ほどといいます。選別作業も非常に細かく、腰や目に大きな負担をかけながら丁寧に行われていました。
ここからはささげの生育、作業の様子を写真とともにご覧ください。
▲(左)種まきから約2週間で発芽しました (右)30日後には支柱に弦が巻きつくまで成長
▲(左)種まきから50日後。畝(うね)が隠れるほど順調に成長 (右)70日後。さやが褐色しはじめました。
▲収獲されたさやはシートの上で乾燥させます。どれもカラカラになるまで水分をしっかりと飛ばします。
▲一つ一つ手で割りながら豆を脱穀させていきます。
▲脱穀された豆は割れやカビ、虫食いなどここで目視で選別されます。
▲選別された豆がこちら。色にばらつきがあるためさらに三次検品が行われます。
▲こちらがささげの花。紫色でとても綺麗ですね。
▲前日の記録的大雨で畑はぬかるみ状態。風で倒れた支柱などを補正しました。
▲褐色したさやも夜中まで降った雨が多く含み豆はブヨブヨ。乾燥するまで一週間ほど待たなくてはなりません。
▲下岩川地域づくり協議会、鈴和商店、日の本穀粉のみなさまと当社メンバー
信太さんは次のように来季への改善点を語ってくださいました。
「今年は種まきした場所に芽が出ないところが多々ありました。種の数がギリギリだったので来年は端(はた)にも植え、いざという時に移植できるように対策したいです。また支柱の世話を細かく見ていくこと。ささげの弦は非常に弱いため加減しながら見ていきますが、若い芽のうちに弦が支柱にうまく巻いていくように紐などを使って矯正していきたい。短期間ですが毎日の作業になるのが大変ですね。」
毎日の世話が必要であり、細やかな工夫と労力が欠かせない作物であることを学ばせていただきました。
皆さまの手によって大切に育てられた赤ささげが、榮太樓の御赤飯や甘名納糖となります。生産者の想いとともに受け継がれてきた豆の味わいをぜひご賞味ください。
広報部