2026/06/01その他
今年最初の除草の日 ~田んぼ一枚の大自然~
成田市「おかげさま農場」 もち米の田んぼ

5月30日。快晴。
初夏の日差しを受けて、田んぼの稲も少しずつ大きくなってきました。
稲と一緒に元気になるのが雑草です。この日は、無農薬田んぼの除草作業を行いました。
ひざまである長ぐつを履いて、田んぼの泥の中に入ります。水は思った以上の温かさ。
水面近くに漂う緑の藻を手ですくうと、その形に目を奪われました。藻はまるで網のように規則正しいすき間を作っていました。自然が生み出す、まるで測ったように整った造形には本当に感心してしまいます。ハチの巣の六角形などもそうですよね。
水の中に手を入れ、さらに泥の中へともぐらせます。指先に触れた雑草の根を、土ごとかき混ぜるようにして引き抜きます。瞬間、指先にひんやりとした感触が(冷たいっ)。
田んぼの水は温かく感じたのに、雑草の根の周りは少し違います。草が繁茂すると日光が遮られ、その下の泥の温度は低くなります。稲を元気に育てるためには、こうした雑草の根をしっかり取り除くことが大切です。
この田んぼでは、5月から6月にかけて3回の除草を行います。3回目が終わる頃には稲もたくましくなりますが、今日のように初回の頃の稲はまだ細く頼りない姿です。
これから2時間ほど泥に足を取られながら雑草と向き合うことになりますが、実はひそかな楽しみがあります。田んぼに暮らす小さな生き物たちとの出会いです。
春先、田に水が張られると、さまざまな生き物が姿を現します。土中に水が行きわたり、稲が植えられます。藻が発生し、草の根が広がり始めると、それを追うように虫たちも集まってきます。アメンボ、オタマジャクシ、ヤゴ、タガメ。そのほかにも名前の分からない小さな生き物がたくさん。
こうした生き物たちは食物連鎖によってつながり、小さな田んぼの中にひとつの生態系をつくっていきます。田んぼ一枚の中に大きな自然が広がっていることに、不思議な気持ちになります。
「うわーっ!」
突然、誰かの大きな声が響きました。この日は20数名で除草作業をしていましたが、泥に足を取られて尻もちをついてしまったようです。作業が進むにつれて足腰も疲れてくるため、それほど珍しいことではありません。しかし、田んぼの生き物たちにとっては大事件かもしれません。水の中に手を入れただけでも、アメンボやカエル、オタマジャクシは一斉に逃げ出します。人が転べば、水中には相当な衝撃が伝わるはず‥。
そんなことを考えながら作業を続けていると、さまざまな小さな生き物たちが目に入ってきます。
草の茎にしがみついているヤゴ。
泥の中の石だと思って拾い上げたものが小さな亀だったり。
畦(あぜ)の近くの排水口には、数えきれないほどのザリガニが。
田んぼは、小さな生き物たちの生命感であふれているのだなあとつくづく思いました。
しかし、ここはおいしいもち米を育てるための場所であります。主役はあくまでも稲です。
この日の除草作業は、稲が元気に育つために、勢いの強い雑草を取り除くことが目的です。作業後には、雑草だけでなく虫たちの数も減るかもしれません。それでも、近くの川へ移ったり、再び戻ってきたりするのでしょう。
私たち人間は生きるために作物を必要とし、虫たちもまたそれぞれの命を生きています。
田んぼは、その両方が交わる場所とも言えるかもしれません。
食とは、植物や動物、昆虫を含めた多くの命のつながりの中から生まれてくるものなのだなと、改めて感じました。
正午過ぎ、除草作業が終了。
広がり始めていた雑草は取り除かれ、稲たちがのんびりと陽の光を浴びていました。

午後2時。帰り際にもう一度田んぼに戻ってみると、朝よりも田んぼが少し広く見えました。
小さな生き物たちに囲まれながらの田んぼ仕事は、毎回いろいろな発見があります。これからも季節の風景をお届けしていきます。
※もち米の仕入れ先である成田市「おかげさま農場」。当社が農場の指導を受けながら人の手だけで世話をする田んぼは圃場全体のうちほんの小さな面積です。それ以外はプロの皆様による通常の稲作が行われております。この一枚の田んぼを、社員が農業体験を行なう区画として特別に活用させていただいております。



